ガイドヘルパーの食事と休憩時間｜意外と知られていない現場のリアルと工夫

ガイドヘルパーは、障がいのある方の外出を支援する専門職です。その活動は日常的でありながら、利用者にとって「外の世界とつながる大切な時間」を支える存在でもあります。

そんなガイドヘルパーに関して、「休憩はどうしているの？」「食事代は出るの？」「ずっと付き添いで大変そう」といった疑問の声が多く聞かれます。

本記事では、「ガイドヘルパーの食事と休憩時間」というテーマで、制度上の仕組みや現場での実態、そして働く人自身がどのように工夫しているのかをわかりやすく解説していきます。

記事のポイント

ガイドヘルパーの業務は、利用者1名に対してヘルパー1名の1対1支援が原則です。そのため、支援中にヘルパーが利用者から離れて一人で休憩を取ることは基本的にできません。

特に「同行援護」「行動援護」など、障がい特性により常時見守りが必要な場合は、目を離すこと自体が支援の目的に反してしまうため、法律や運用面からも原則として付き添いが必要です。

また、2人介助であっても、原則としてどちらかが単独で休憩を取るような体制は整っていないことが多く、ヘルパー2名ともに利用者と行動を共にするのが実態です。

労働基準法では、以下のように定められています。

多くのガイドヘルパー業務は、この制度に対応する形で「6時間以内」に支援を終えるように設計されています。これにより、法的には休憩を設ける必要がないため、「支援中は基本的にずっと一緒」でも問題がないように調整されているのです。

現場では、利用者と一緒に過ごす時間の中に自然な休憩時間を作り出しているケースが多く見られます。

たとえば…

このように、業務の一環として「休憩的な時間」を確保しているのが実際のところです。行程設計の中で“メリハリ”をつけることが、長時間の支援を快適にするカギとなります。

食事の時間は、単なる空腹を満たすための時間ではありません。ガイドヘルパーにとっては、「利用者と一緒に食事を楽しむ」ことも立派な支援の一環と捉えられています。

食事を通じて、利用者の好きな食べ物や食事スタイル、食べるペースや体調の変化などを観察できる機会でもあり、信頼関係を深めるきっかけにもなります。

もちろん、利用者が「一人で食事をしたい」と希望する場合には、無理に同席する必要はありません。利用者の意思を尊重することが最優先です。

気になるのが「ヘルパー自身の食事代はどうなるのか？」という点です。

実情としては、事業所ごとに対応が異なります。一般的な例としては以下のような制度が多く見られます。

一部では「利用者と同じメニューであれば事業所負担」といった独自ルールを設けているところもありますが、基本的にはヘルパーが自身で負担する、もしくは一部補助されるという運用が一般的です。

もし、現在所属している事業所に食事代補助が全くない場合は、一度見直しを検討することも必要です。交通費や食事代の自己負担が多いと、せっかくのやりがいある仕事も続けづらくなってしまいます。

実際、福利厚生として食事補助を設けている事業所は少なくなく、待遇の比較はガイドヘルパーとしての長期就業のカギとなるでしょう。

支援を行う中で、少しでも快適に過ごせるように意識したいポイントがあります。

すきま時間を意識的に組み込み、カフェ休憩や散策など、身体を休められる場面を設計に入れておくと安心です。

ガイドヘルパー自身の体調やエネルギーも大切な資源です。水分補給、適度な栄養摂取、季節に応じた服装で支援中も快適に過ごせるよう心がけましょう。

同じ利用者を担当している他のスタッフと連携し、よくある支援のパターンや注意点を共有しておくことで、精神的な余裕が生まれます。

ガイドヘルパーの仕事は、支援中に1人で休憩を取ったり、完全に自由な食事時間を確保したりすることが難しい環境にあります。しかし、支援の中に自然と組み込まれた「休める時間」や「楽しめる食事時間」があり、それをどう活かすかが快適な働き方のカギです。

事業所の制度も確認しつつ、自分なりの工夫を取り入れていけば、「続けやすく、やりがいのある支援スタイル」を確立することができます。

誰かを支えるには、まず自分が心地よくあること。ガイドヘルパーとして、より良い一日をつくるためのヒントにしていただけたら幸いです。